歯医者選びのポイント

歯科医院のホームページや、書籍で「こんな歯医者がお奨めですよ」なるものを見かけます。いろいろな事が書かれていますが、あれを全て満たしているような歯科医院があるとしたら・・・内容的には

  1. 看板が小さい事・・・看板は病院の案内であり、ある程度のわかり易さも必要です。小さい看板が良いのなら、極論ですが看板が無いのが最も良い事になります。これは、良い歯科医院は口コミで患者さんが来るから、不特定多数対象の、大きな看板は必要ないという発想から来ています。要するに、広告を出している歯科医院はダメだということです。その話を逆にとって、わざわざ看板を小さくした医院もあると聞きます。このホームページにしても、一種の宣伝みたいなものですから、ホームページのある歯科医院はダメ?イマドキ、まったく、広告媒体を使わない医院があるとしたら、それはたんに、ポリシーでそうしているだけでしょう。いずれにしても、これは当てにならないポイントです。精力的で、やる気のある先生の所の看板は、大体大きいし、広告も結構だしています。しかし、医療法というのがあって、診療科目以外の診療内容を宣伝するのは違法行為です。新規開業の挨拶以外に、診療内容の広告を出しているような場合は問題ありです。違法行為と解かって出しているのですから。でも、出さないとやっていけない医院の事情もあるのでしょうが。ちなみに、ネット上は、医療法の対象外です。ここではバンバン宣伝しても良いそうです。
  2. 清潔で掃除が行き届いている・・・これは、医院が新しい古いで、見た目が全然違うので判断するのは難しいでしょう。清潔と言うと、消毒体制が気になりますが、どこの医院でも滅菌はしていますし、特別な医院を除いて大差は無いといえます。そこを売りにしている所も確かにあり、そういう医院はワンランク上の消毒体制を採っています。一般的な判断基準としては、手袋をしているか否か、です。今の時代にゴム手袋もしていないようでは、論外でしょう。
  3. 患者数が多すぎるのはダメ・・・よく、待合室に患者が溢れているような所は、いい治療が出来る筈が無いと言います。最近の歯科医院過剰で、その様な歯科医院は減りましたが、今でもその様な状態の医院があるにはあります。いいところがあるから患者さんが多い訳で、診療内容も含めて、その医院が総合的に優れている証拠です。僕の知っている医院でも、信じられないような多数の患者さんを診ているところがありますが、総合的に優れているのは、誰が見ても解かります。評価を下すのは、患者さんなのです。
  4. 最新の診療設備がある・・・設備が新しいのと、内容が最新であるのとは意味が違います。歯科のユニット(治療用の椅子)に関しては、基本的にはここ20年間ぐらい、何も変わっていません。デザインが洗練されてきているだけでしょう。変化してきているのは、それ以外の診療機器です。レーザーなどはその代表です。しかし、新しいものより、従来からの機器の方が、使用例によっては優れている場合もいくらでもあるのが本当です。まあしかし、新しいに越した事はないでしょうけど。気分が違いますよね。
  5. やたらと豪華なのはダメ・・・待合室などが、やたらと豪華なのはどこか疑わしいなどと述べているケースがあります。そのお金はどこから来ているのだ・・・というような表現です。患者さんの居心地を良くする為にお金を使っている訳で、これは立派な医院を持てない歯科医のひがみとしか受け取れません。べつに自分の医院が豪華で、そのことの言い訳ではありません。当院などは誰から見ても特別豪華ではないし、はっきり言って平均以下ではないかと思います。むしろ、若いのに高級外車を乗り回している様な歯科医の方が問題でしょう。でもそれも、歯科医師の場合、元から、裕福な家庭の子息が多いので、医院の内装や車を判断材料にするのも当てにはなりません。
  6. 歯科衛生士がいる・・・はっきり言って、居ればいいと言う問題じゃないと思います。地域性もあります。歯科衛生士の学校が、たくさんある地域の歯科医院だと、どこの医院にも歯科衛生士はいます。そうでない地域だと、医院の数に対して歯科衛生士が不足しているので、歯科衛生士の居ない医院の方が多い場合だってあります。そこの歯科医師がきちんとした治療をしていれば問題はないでしょう。メインの治療を行うのは歯科医師なのですから。高齢の先生ひとりだけで、スタッフの居ない医院を知っていますが、そこの先生の治療は僕らからみても、唸ってしまうような素晴らしいもので、芸術的なレベルです。まあしかし、歯科衛生士がいないと、歯周治療はやりにくいでしょうね。きちんと歯磨きの指導をするには時間が掛かります。歯科医師が、歯磨きの指導に、長時間付きっきりにはできませんから。
  7. よく説明をしてくれる・・・これは良いに決まってます。暇そうなのに、きちんと説明もしてくれないようなら問題ありでしょう。しかし、忙しそうな医院だと長い時間は説明してくれないと思います。忙しい医院の場合は、治療内容で勝負していて、それが良いから患者さんに支持されているのです。また、開業暦が長く、多くの患者さんに、全面的に支持されているような所だと、患者さんは来院して、先生とひと言ふた言話してから、即治療というのもあります。「この先生に任せておけば大丈夫」という、信頼感のなせる技です。長い間にできた、信頼関係ですから、初めての患者さんだと、かなりの違和感を覚えるでしょうね。先生はぶっきらぼうで、ろくに説明もしてくれないのに混んでいる歯科医院の場合は、まず腕がいいのは、間違いないと言えます。
  8. 通院回数が多い・・・どこかに出ていましたが、それなりの理由があるようです。でも、多くの患者さんは痛い所だけを早く治して欲しいのです。あっちこっち悪いのは説明されれば解かります。でも歯にばかり時間を掛けてられないと思います。短期間に終わる方が良いに決まってます。丁寧に治療すれば時間と回数がかかると言う事でしょうが、能力のある歯科医師の治療時間、回数は短いですよ。たくさん悪い所があって、それを治療するのに、それなりの回数がかかるのは仕方ありません。
  9. 礼儀正しい、親切・・・良いのは解かります。でもこれも、治療の腕とは何の関係もありません。あまりに過剰な礼儀正しさ、親切さはその医院の経営上の戦略でしょう。だからといって、それが悪いわけでもありません。

否定的な内容ばかりになってしまいましたが、要は評判の良い、自分にあった歯科医院を選ぶ事です。

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